この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
相談者は、会社から、突然、普通解雇の通告を受けました。会社に対して解雇の理由を確認したところ、これまでに注意や指導を受けたことがない能力不足・協調性不足・勤務態度不良のことが解雇の理由として挙げられており、相談者は全く身に覚えがありませんでした。
解決への流れ
1 主張したこと会社に対して内容証明郵便を送付し、普通解雇の理由が具体的とはいえないこと、これまでに能力不足・業務成績や勤務態度についての注意や指導を受けたことがないこと等に触れ、普通解雇が解雇権を濫用したものであり無効であることを指摘しました。加えて、解雇後の給与支払い、解雇予告手当の支払い、未払給与の支払いについての請求も行いました。2 得られた結論会社側と交渉をした結果、①会社の普通解雇の意思表示を撤回し、合意解約(会社都合による退職)によって労働契約を終了させたうえで、②解雇後の給与支払いとして、基本給与の数ヶ月分に、解雇に伴う慰謝料、未払残業代の金額加えた解決金として、200万円の支払いを受けるという解決条件で合意をすることができました。
使用者は、従業員の能力不足、協調性不足、勤務態度不良を理由に普通解雇をすることが多いですが、一般に、使用者が求める能力水準と解雇が有効となり得るレベルの能力不足との間には乖離がある場合が多く、また、繰り返し注意や改善を指示したことがなければ解雇が有効となることは難しい場合が多いため、突然、能力不足、協調性不足、勤務態度不良を理由として解雇されてしまった場合には、使用者側と交渉する余地があるといえると考えられます。