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#個人再生

【個人再生・住宅ローン特則・巻戻し】個人再生で保証会社による代位弁済後の住宅ローン債権について巻戻しがなされた事例。

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神山 公仁彦 弁護士が解決
所属事務所梅ヶ枝町法律事務所
所在地大阪府 大阪市北区

この事例の依頼主

50代 男性

相談前の状況

ご相談者Aさんは、自営業を営んでいましたが、売上が減少するようになり、生活費等のために複数のクレジット会社や貸金業者から借入を繰り返すようになりました。そして、債務総額は、住宅ローン(約1,500万円)を除いても約1,000万円になり、それ以上の借入ができない状態となりました。そして、住宅ローンの支払いも延滞し、ついには住宅ローン債権が代位弁済によって保証会社に移転してしまいました。このような状態で、Aさんから債務整理のご相談を受けました。

解決への流れ

Aさんの状況からすれば、自己破産もやむなしと考えられましたが、Aさんは、家族と一緒に住む自宅をどうしても手放したくないとの気持ちが強固でした。Aさんは、何とか売上を伸ばすべく努力するとのことでしたので、まずは巻戻しによる住宅ローン特則付きの個人再生申立てを念頭に、各債権者に受任通知を送り、各債権者に対する返済を止めました。そして、すぐに住宅ローン債権者との間で住宅ローン債権の巻戻しについて交渉を行いました。当初は難色を示していた住宅ローン債権者も、途中から巻戻しについて前向きに検討してくれるようになりました。裁判所に個人再生を申立てた後は、裁判所への報告書の提出や住宅ローン債権者との調整等に通常よりも数倍の労力を要しましたが、最終的には、代位弁済によって保証会社に移転した住宅ローン債権の巻戻しを前提に、住宅ローンの弁済条件を変更する内容で住宅ローン債権者との調整ができました。そして、当該内容の住宅ローン特則を付けた上で、約1,000万円あった再生債権の5分の1に当たる約200万円を20回に分割して3ヵ月毎に5年間で弁済する内容の再生計画案が認可され、当該認可決定は確定しました。。

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神山 公仁彦 弁護士からのコメント

個人再生においては、再生計画に住宅ローン特則を付けることにより、住宅ローンの返済を続けて住宅を確保しつつ、住宅ローン以外の再生債権については、再生計画で減額された金額(債権額1,500万円以下であればその5分の1)を原則3年間(最長5年間)で弁済することで残債務が免除されます。そして、この住宅ローン特則を利用する場合、住宅ローンについて保証会社による代位弁済が行われた後であっても、代位弁済から6ヵ月以内に個人再生の申立てをすれば、代位弁済前の状態に戻す道が認められています。これを「住宅ローンの巻戻し」といいます。私自身は、個人再生の申立ては、これまでに100件以上を経験していますが、住宅ローンの巻戻しによる住宅ローン特則を利用したのはこの事例の1回だけです。巻戻しの時点で、未払いの元金や利息は相当な金額になっており、それをどのようにして支払っていくかの交渉を含め、住宅ローン債権者や保証会社の協力が不可欠です。そのため、申立て前から綿密な協議を行う必要があり、巻戻しをする場合のハードルは相当高いといえます。可能であれば、代位弁済が行われる前の早目のご相談をお勧めします。