犯罪・刑事事件の解決事例
#個人再生

【個人再生】破産免責から7年以内に再び多重債務者となり個人再生をした事例。

Lawyer Image
神山 公仁彦 弁護士が解決
所属事務所梅ヶ枝町法律事務所
所在地大阪府 大阪市北区

この事例の依頼主

30代 男性

相談前の状況

ご相談者Aさんは、生活費の不足分を補うために複数の貸金業者から借入をするようになり、その後、負債総額が300万円以上に増大して二進も三進もいかなくなり、破産をして免責決定を得ました。Aさんは、その後しばらくは借金をしていませんでしたが、数年後から生活費のためにまた複数の業者から借入をするようになっていきました(借入先は、いずれも審査の甘い中小の貸金業者でした。)。そして、そのうちに借入総額は債権者6社に対して約120万円になり、月々の返済総額は54,000円となりました。Aさんは、毎月の給料から54,000円も返済に充てると生活ができず、それ以上の借入もできない状態となり、何とか負債を処理できないかということで相談に来られました。

解決への流れ

Aさんは、前回の破産免責からまだ6年しか経っていませんでした。破産による免責決定が確定してから7年以内に再び破産免責を得ようとしても、それは免責不許可事由になるので(破産法252条1項10号イ)、破産は選択肢から外れました。残る負債整理の選択肢としては、任意整理と個人再生(小規模)がありましたが、Aさんは、掛け持ちでアルバイトをするなどして月3万円程度であれば弁済資金を用意できるとのことでしたので、負債整理の方針として個人再生(小規模)を選択し、各債権者宛てに受任通知(介入通知)を送付しました。そして、同時並行で、法テラス(日本司法支援センター)に対して代理援助(弁護士費用の立替え)の申込みをし、約2週間後には審査が通りました。ところが、受任通知送付後に、債権者のうちの1社がAさんに対して貸金請求訴訟を提起してきました。ぐずぐずしていると、債権者が判決を取得して給料差押えをしてくる危険があったので、申立ての準備を急ぎ、受任通知発送から約1ヵ月後に裁判所に小規模個人再生の申立てをしました。そして、裁判所には、債権者から貸金請求訴訟が提起されているので、早急に開始決定を出してほしい旨の上申をし、申立てから約4日後には再生手続開始決定が出ました。そして、その数ヵ月後には、約120万円あった債務のうち100万円を3年間で弁済する内容(1ヵ月当たりの弁済額合計は27,900円で、各債権者には3ヵ月毎に3ヵ月分をまとめて弁済)の再生計画案が認可されて確定しました。そして、その後、Aさんは、3年間で完済に至りました。

Lawyer Image
神山 公仁彦 弁護士からのコメント

通常であれば、負債総額が120万円程度であれば、任意整理も十分に可能な金額です。しかしながら、本件では、債権者はいずれも中小の零細な貸金業者であり、任意整理を行った場合の各債権者毎の弁済回数や弁済額等の弁済条件に関しては、必ずしも予測のできないところがありました(中小の業者の中には、任意整理であるにもかかわらず、経過利息や完済までの遅延損害金の一部を強行に請求してくる業者もいます。)。そこで、本件では、Aさんは、月3万円程度の弁済資金が用意できるとのことでしたので、最低弁済額100万円を3年間で弁済していく個人再生の方がスムーズに解決できると判断しました。個人再生は、負債総額が500万円の人でも弁済額は5分の1の100万円になるので、負債総額が120万円のAさんにとってのお得感は小さいですが、それでも残元金を割っての弁済額で、3年間ですべての債務を一律に消すことができるわけですから、それなりのメリットがあるといえます。なお、過去7年以内に破産免責を受けていた場合、給与所得者等再生をすることはできませんが、小規模個人再生をすることはできます。また、再生手続開始決定があると、再生債権に基づく強制執行をすることはできず、既にされている再生債権に基づく強制執行は中止されることになります。